【MTGRocks】記事情報:ウィザーズ、『スパイダーマン』セットの「Universes Within」を発表。



『Magic: The Gathering』における外部IPとのコラボシリーズ「Universes Beyond(UB)」は、話題性と同時に賛否も多く集めてきた。
これに対して、UBカードを通常のマジック世界に変換した「Universes Within」シリーズが構想されてきたが、現実にはほとんど活用されていなかった。
そこに登場したのが、Wizards of the Coastが新たに発表した「Through the Omenpaths」。
これは、デジタル限定でUBセットをUniverses Within形式に完全再構築してMTGアリーナに実装する試みだ。
●要点解説
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「Through the Omenpaths」の概要
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Universes Beyondセットをデジタル用に変換した「Universes Within版」として、MTGアリーナに登場。
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カード性能はオリジナルと完全に同一だが、名前・アート・世界観は完全新規。
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主な目的は、デジタルで未対応のUBセットを補完し、プレイ体験の整合性を保つこと。
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デジタル限定かつ対象セット限定
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「Through the Omenpaths」は紙製品としては販売されず、MTGアリーナ専用。
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すべてのUBセットに対応するわけではなく、デジタル配信が不可能なUBセットのみが対象。
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初回は2025年の「スパイダーマン」セットで、9月23日にアリーナ実装予定。
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背景にある課題と狙い
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主因はライセンスの制約、たとえばマーベル関連セットはデジタルでの展開が難しいため、その代替策。
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デジタルと紙のメカニクスの整合性を確保する手段として、表現面を変更する形式を選択。
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今後、同様の方法で「Universes Beyond」の他作品にも対応予定。
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見えてくるデメリットと懸念点
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紙とデジタルのさらなる分断が進行する可能性。
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「アルケミー」セット同様、一部プレイヤーしか体験できないコンテンツが増加。
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アート・名前・設定の違いにより、カードの把握難易度が上がり混乱を招く可能性。
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スパイダーマンなど、1つのセットに2つの「顔」が存在することが議論やデッキ共有のハードルに。
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対象外のセットも
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『指輪物語』のようにモダンのみ対応のセットは「Through the Omenpaths」の対象外。
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対応は「すべてのフォーマットで使用可能なUBセット」に限定されており、適用対象は今後も選別される見込み。
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●まとめ
「Through the Omenpaths」は、紙とデジタルでカードの性能を揃えるというマジックの理想に向けた大きな一歩であり、ライセンス上の制約という難題に対する現実的な解決策でもある。
一方で、表現やカード名の違いが混乱や認知負荷の増加を招く可能性は否めず、「誰もがすぐ理解できるマジック」というユーザー体験を損なうリスクもはらんでいる。
また、デジタルでしか体験できないセットが今後増えることで、紙プレイヤーとの体験格差が広がることへの懸念も強まっている。
これまでアルケミーセットに対して抱かれてきた不満が、さらに複雑化する形で再燃する可能性もあるだろう。
とはいえ、現状の選択肢の中では最もバランスを取った施策とも言える。
今後の成否は、どれだけユーザーが混乱なく適応できるか、そしてWizardsがそのサポートにどれだけ本腰を入れるかにかかっている。
9月23日のスパイダーマンセットを皮切りに、この試みが今後のマジックのスタンダードになるのか、慎重に見守る必要があるだろう。
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