『霊気走破』ビジョン デザイン設計、パート2 – マジック:ザ・ギャザリング

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【MTG公式】記事情報:『霊気走破』ビジョン デザイン設計、パート2

 

『霊気走破』のデザインプロセスでは、メカニズムの刷新や過去の要素の再活用が試みられた。
特に、エネルギー、Speedy、Travelingなどの新しいアイデアが組み込まれ、セットのテーマである「レース」の雰囲気を強く反映している。
本記事では、公開されたデザイン文書の内容をもとに、開発チームの狙いや試行錯誤について解説する。

要点解説

1. エネルギーの新たな活用方法

  • エネルギーをリソースではなく代替コストとして活用

    • これまでの『カラデシュ』環境では、エネルギーは独立したリソースだったが、今回はマナの代替として使用可能。
    • ハイブリッドエネルギーコスト({2/e} や {e/m})を導入し、デッキ構築の自由度を向上。
  • エネルギーをキッカーコストに適用

    • 追加のコストとして支払うことで強化効果を得られる仕様。
  • 供給を抑えてバランスを調整

    • 『カラデシュ』環境ではエネルギーの供給過多が問題になったため、今回は生成手段を制限。
  • 対戦相手のエネルギーを除去・奪取可能

    • 過去のセットでは相手のエネルギーに干渉できなかったが、今回は「妨害」の要素を追加。

2. 「Speedy」の概念導入

  • クルー、速攻、瞬速を持つカードを「Speedy」として分類

    • これらを活用するカードがシナジーを生み出す設計。
  • Speedy関連カード

    • 例:「あなたがコントロールするSpeedyクリーチャーは+1/+1を得る。」など、Speedyなカードが恩恵を受けるデザイン。
  • 最終的にカット

    • 速攻や瞬速をゲーム後半でも有効にするアイデアだったが、効果が限定的で大きな影響を与えなかったため不採用。

3. 土地の多様性を重視した「Traveling」

  • 異なる名前の土地を持つことを条件とするメカニズム

    • 例:「あなたが異なる名前の土地を4つ以上コントロールしている場合、+1/+0の修正を得る」など。
  • セットの「旅」のテーマに合致

    • 土地の異なる種類を集めることが「Traveling」として表現される。
  • バランス調整の困難さから不採用

    • 達成が容易すぎると強力すぎ、逆に難しすぎると使われないため、調整が難航。

4. 予備メカニズム(不採用のバックアップ)

開発チームはセットの調整を容易にするため、予備のメカニズムも検討。

「Encourage」

  • 1体で攻撃するとボーナスを得る
    • 「単独で攻撃した際、先制攻撃を得る」など。
    • →最終的にカット(『アラーラの断片』の「賛美」に類似)

「Tour」

  • ライブラリーの上を確認し、土地なら追放して続行できる
    • いわば「サイクリング」に似た効果。
    • →採用を見送る(ドローの予測可能性が崩れるリスクがあるため)

「Racer」

  • 一定のライフ損失を条件に「レースを完了」
    • 「3点以上のダメージを与えたらカウンターを得る」など。
    • →「レース」の概念をシンプルにするために不採用

「Pick a Gear」

  • 「ギア」を選び、攻撃時に異なる効果を発動
    • 例:「高ギア:+2/+0、低ギア:+0/+2」
    • →モード効果を活用する案だったが、レース要素をシンプルにするため不採用

「Racecar」

  • 手札から追放し、3/2の乗り物を生成する
    • 一定条件を満たすと、追放したカードを唱えられる。
    • →最終的に採用されなかったが、3/2の乗り物トークン自体はセット内に採用

まとめ

  • エネルギーの仕様変更
    • マナの代替として活用する設計に変更し、供給を制限しつつ妨害手段を導入。
  • Speedy(速攻・瞬速・クルー)
    • フレーバーとしては面白いが、影響力不足で最終的にカット。
  • 「Traveling」メカニズム
    • 異なる名前の土地を活用するアイデアだったが、バランス調整が難しく不採用。
  • 複数の予備メカニズムを検討
    • 「Encourage」「Tour」「Racer」「Pick a Gear」「Racecar」などが候補だったが、全て不採用。

『霊気走破』は、「レース」のテーマを強調しながら、新たなメカニズムを試みたセットだった。
最終的に多くの要素が削られたが、今後のセットで再登場する可能性もある。
特にエネルギーの新しい活用法は、将来的に採用される可能性が高そうだ。

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