【MTG公式】記事情報:デザインファイル:『テンペスト』パート3
『Magic: The Gathering』のセット『テンペスト』(1998年リリース)に向けてデザインチームが開発したカードファイルには、最終版に採用されなかった数々のカードデザインが存在します。
今回の記事は、デザイン段階で考案されながらも採用されなかったアイデアに焦点を当てたシリーズの最終回です。
貴重な試行錯誤や未完成のコンセプトを通じて、当時の開発背景が垣間見えます。
要点解説
1. 採用されなかったデザインの特徴的なカード
- Death Link(1B、エンチャント)
- 毒カウンターを使った初期メカニズム。さらに、後の「絆魂」に似た能力を持つ。
- Dark Knight(2BB、クリーチャー)
- 毒カウンターをコストにすることで、ブロックしたクリーチャーを破壊する強力な能力。
- Demonic Consultation Part II
- デッキから2枚の特定カードを引き当てる新しい試みだが、強力すぎて採用されず。
- Insecticide(2B、ソーサリー)
- ユーモアのあるデザインで「昆虫、蜘蛛、妖精」を一掃するジョークカード。
2. 新しいメカニズムの試行錯誤
- Sliding
- 後の「サイクリング」に近い初期メカニズム。
不要なカードをライブラリの下に送り、新しいカードを次のターンに引く。 - 「Sliding Stone Rain」や「Sliding Tranquility」などで実験されたが、後に削除。
- 後の「サイクリング」に近い初期メカニズム。
- Poison Dual Lands
- 毒カウンターを得ることで敵対色のマナを生成する土地。
毒テーマとの相性を試したが、バランス調整の問題で不採用に。
- 毒カウンターを得ることで敵対色のマナを生成する土地。
3. 未採用のクリーチャーデザイン
- Goblin Commando(R、クリーチャー)
- 盤面のクリーチャー数に応じて強弱が変動するデザインだが、強力すぎた。
- Big and Weak(6GG、クリーチャー)
- 攻撃力13、防御力1という極端なバニラクリーチャー。
デザインの限界を押し広げた試み。
- 攻撃力13、防御力1という極端なバニラクリーチャー。
- Shadow Dragon(2RR、クリーチャー)
- 後の「エコー」と似た「Planeshift」という能力を搭載。
4. ジョークカードから実際の製品へ
- 「Free Agency」や「Chaosorama」
- 混乱を引き起こす効果で後にジョークセット「Unglued」に採用。
- Fixed Stone Calendar
- コスト軽減効果を持つアーティファクトが「Bronze Calendar」として登場し、ユーモアの要素を追加。
まとめ
『テンペスト』のデザインファイルには、当時のメカニズムやアイデアの試行錯誤が数多く見られます。
毒カウンターやサイクリングの初期案、クリーチャーや土地の大胆なデザインなど、時代を先取りした試みも多くありました。
これらのコンセプトの一部は後に別セットや「Unglued」などで再利用され、現在のゲームデザインにも影響を与えています。
採用されなかったカードデザインは、Magicの歴史の一部であり、ゲームの進化の過程を示す貴重な資料です。
これらの試みが後のセットやメカニズムにつながっていることを考えると、デザインの失敗は必ずしも無駄ではないことが分かります。
次回は新セット『イニストラード・リマスター』のプレビューが予定されており、新しい展開が楽しみです。
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