【MTG公式】記事情報:マジックの設計に必要な計算。




































「数学なんて将来使わない」——かつて舞台稽古に明け暮れた高校生の筆者が、そう言っていた数学の重要性を、今では誰よりも痛感している。
なぜなら、マジック:ザ・ギャザリングのデザインには、膨大な数学が欠かせないからだ。
デザインに必要な数学のポイント
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「アズファン」の概念
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ブースター1パックあたりに特定の要素が平均何枚含まれるかを示す数値。
例:「awesomeness」という能力を持つカードが平均1.5枚含まれるなら、アズファンは1.5。 -
設計段階でのバランス調整に必須。
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カードの印刷と「コレーション」
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印刷は「121枚シート」など大判で行い、カットしてカード化。
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両面カードやFoilなどは別シートで、セット構成に影響。
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印刷構成の理解と調整には高度な数学が必要。
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「ブースターマス」
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各カードスロットの配分(例:6枠はコモン)が複雑に管理され、特定テーマに専用スロットを割り当てる場合もある。
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「awesomeness」枠のアズファンを意図的に上げる設計などが可能。
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効果やコストの数学的調整
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例:N枚のカードを見て土地を探すカードの設計には、土地が40%の確率で入っている前提での確率計算が必要(N=3で約78.4%)。
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効果の強さとコストのバランス調整も数学で算出。
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マナカーブの調整
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ゲームの進行に応じたカードのコスト分布を設計。序盤から終盤までプレイできるようバランスを取る。
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単体カードの強さとカラーごとの曲線調整に細かい数値調整が必要。
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内部データと外部データの活用
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社内テストで得たプレイデータとプレイヤーの印象評価を蓄積。
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発売後は数百万人分のデジタルプレイデータ、販売数、SNS傾向などを統合分析。
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客観データでセットの成功・改善点を定量的に評価。
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他部署でも数学は必須
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印刷数やプリンター台数、流通計画、Foil封入率なども全て数値計算。
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専属の経済学者チームが社内に存在し、データ解析を支援。
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まとめ:未来のデザイナーも、数学を大切に!
マジックのカード1枚が誕生するまでには、あらゆる場面で数学が活用されている。
アズファンの調整、印刷工程、カード効果の設計、マナカーブの構築、販売後の分析——どれを取っても数字からは逃れられない。
記事の筆者が「絶対に数学なんて要らない」と思っていた少年時代から43年。
今や彼は、画面の前で頭を抱えながら「なぜこんなに数学が必要なんだ」と嘆く日々を過ごしている。
マジックの世界を作るには、それほどまでに深く広範な「数学の力」が求められているのだ。
結論:だからみんな、数学の宿題はちゃんとやろう。
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