【MTGRocks】記事情報:MTGのデザイナーがファンのお気に入りメカニックを「失敗」と呼ぶ
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『マジック:ザ・ギャザリング(MTG)』では、多くのプレイヤーに愛されるメカニズムがある一方で、デザイナーからは敬遠されるものもある。
その代表例の一つが「氷雪」である。
MTGのヘッドデザイナーであるマーク・ローズウォーターが、「氷雪」メカニズムはデザイン的に問題があると発言したことで、プレイヤーの間で再び議論が巻き起こっている。
さらに、「種族(Kindred)」メカニズムについても同様の問題が指摘されている。
なぜこれらのメカニズムがデザイナーにとって頭痛の種なのか、その理由を解説する。
要点解説
1. 「氷雪」メカニズムのデザイン上の問題
- 初登場は1995年の『アイスエイジ』で、約30年の歴史を持つ
- 独特のテーマ性と戦略性を持つが、デザイン面では問題が多い
- 最大の問題点は「カードの複雑化」
- 「氷雪」カードは、ゲーム内で特定のリソース管理(氷雪マナや氷雪パーマネント)を必要とし、デッキ構築やゲームプレイを難しくする
- 例えば、カードの効果を適用するために「氷雪」タイプを持つかどうかを確認し続ける必要がある
- その結果、カードのテキストが長くなり、ゲームの流れが遅くなる
- パワーレベル的には問題がないが、デザイン的な負担が大きい
- 例えば、セット内で「氷雪」を使うかどうかの基準が曖昧になりやすい
- すべての「氷雪」関連カードに「氷雪」タイプを付与するべきか否かが議論される
- デザイナーは「カードテキストに無意味な言葉を増やしたくない」という理由で慎重になっている
2. 「部族」メカニズムも同じ問題を抱えている
- 「部族」とは、特定のクリーチャータイプ(ゴブリン、エルフなど)を軸にしたカードのこと
- 「氷雪」と同様に、全ての「部族」関連カードに「Kindred」ラベルを付与すべきか問題になる
- 例えば、「部族」を扱うカードに毎回「Kindred」の表記を加えると、カードのテキストが長くなりすぎる
- さらに、部族デッキは多くのセットで登場するため、「Kindred」表記を統一するとバランスを取るのが難しくなる
- 「氷雪」と違い、「部族」はゲームプレイに大きな影響を与える
- ほぼ全てのセットで登場する「部族」カードに関して、「部族」をどう適用するかの基準を決めるのが難しい
- そのため、MTGの公式セットでは慎重に採用されている
3. 「氷雪」と「部族」の採用基準
- 「氷雪」はストームスケール(MTGにおけるメカニズム再登場の難易度評価)で「5」
- 再登場の可能性はあるが、デザイナーは慎重
- 「部族」は「9」
- デザインの課題が多すぎて、主流のセットではほぼ登場しない
- 補助製品(統率者デッキやモダンホライゾン)では採用されやすい
- これらの製品は「カードの複雑化」が主流セットほど問題にならないため
4. 「氷雪」や「部族」の利点と問題点
- 利点
- 「氷雪」メカニズムの復活により、統率者戦やモダンなどのフォーマットで「氷雪」デッキの選択肢が増える
- 「部族」メカニズムが統一されれば、部族シナジーを持つデッキがより組みやすくなる
- 問題点
- 「氷雪」を強化しすぎると、「スクリュー(特定のマナを引けない)」などの欠点を持つはずのカードが強化され、バランス崩壊を招く可能性がある
- 既存の「氷雪」カード(例:「雪崩し」や「占術の岩床」)の強化が、フォーマットのバランスに悪影響を与える可能性
- 近年のセットはすでに複雑化しており、「氷雪」や「部族」をさらに追加すると混乱を招く
まとめ
「氷雪」と「部族」メカニズムは、プレイヤーには人気があるが、デザイナーにとっては扱いにくい要素であることが明らかになった。
特に、「カードのテキストを増やしすぎることでゲームプレイのスムーズさを損なう」という点が、再登場を難しくしている。
しかし、完全に廃止されるわけではなく、統率者デッキやモダンホライゾンのような特定の補助製品では、今後も「氷雪」や「部族」メカニズムが登場する可能性がある。
プレイヤーの中には「もう少し「氷雪」や「部族」を活用してほしい」という意見もあるが、デザイナーは「セットの複雑さを管理するために、主流のセットでは慎重に扱う」という方針を取っている。
今後のMTGのデザインがどのように進化していくのか、引き続き注目していきたい。
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