MTGデザイナー、「デジタル環境がカードデザインの幅を制限している」と認める。 – マジック:ザ・ギャザリング

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【MTGRocks】記事情報:MTGデザイナー、「デジタル環境がカードデザインの幅を制限している」と認める。

 

 

 

 

『マジック:ザ・ギャザリング(MTG)』は長らく紙のカードゲームとして親しまれてきましたが、2018年の「MTG Arena」登場以降、デジタルでのプレイ環境が主流となりつつあります。
初心者でも無料で始めやすく、スマホやPCで手軽に遊べるArenaは新規層を広く獲得しました。

しかし、その一方で「デジタル対応を優先することで紙のゲームデザインが制限されているのでは?」という懸念も生まれています。

要点解説

  • 紙向けの魅力的なギミックがデジタル都合で削除
    例:「複数ブロック」能力がデジタル実装に向かないため廃止(Mark Rosewater談)
    「複数対象呪文」もミスクリック防止のため単体対象に変更
    手動マナ指定が必要なカードも、Arenaの自動タップ機能と相性が悪く制限対象に

  • これらの削除は紙プレイヤーの楽しみを減少させる
    上記のようなギミックはプレイングスキルを問う要素でもあり、戦略性を高める存在だった
    結果として、デジタルで扱いにくい=カード化されにくい という現象が常態化しつつある

  • 「紙が本体、デジタルはコピーであるべき」という意見も
    ユーザーの中には「紙の都合がデジタルに影響されるべきではない」との声もあり

  • 物理専用製品の減少が問題を深刻化
    ほとんどのセットがスタンダード(=Arena対応)で発売される現代では、紙限定のギミックを入れる余地が少ない
    『モダンホライゾン3』でさえArenaに収録されており、差別化が難しい
    紙限定カードは事実上、統率者デッキや一部のSecret Lairに限られるが、収録枚数や販売頻度に限界あり

  • 『久遠の終端』のようなセットでは、統率者デッキが2つしか存在せず、紙専用カードはわずか
    今後発売予定の「スパイダーマン」や「アバター」では、統率者デッキ自体が存在しないため、紙限定カードが今年はもう出ない可能性も

アルケミーがもたらす「デジタルならでは」の可能性

とはいえ、Arenaがもたらすメリットも存在します。その代表例が「アルケミー」フォーマットです。

  • 紙では不可能なメカニズムを実現
    「創出」:トークンではない実カードを手札やライブラリに追加
    「永久に」:永続的にステータスやテキストを変更
    「強度」「強奪」などの革新的な効果も多数登場

  • 紙からデジタルへ逆輸入されたギミックも
    例:「宝石の洞窟」のような先攻/後攻による効果差が重要なメカニズムが、デジタル専用で継続的に活用

  • プレイヤーによって好みは分かれるが、デザインの幅が広がるのは事実
    「紙での深いプレイ体験を削ってまでやるべきか?」という議論はあるが、アルケミーのような試みがあることで、MTG全体の設計に革新性が保たれているとも言える

まとめ

デジタル時代の進行により、「MTG Arena」の設計都合が紙のカードデザインにまで影響を与えるようになってきました。
操作性や誤操作の防止という理由で、紙ならではの戦略的なギミックが削られていく現状は、紙プレイヤーにとっては懸念すべき状況です。

とはいえ、Arenaのおかげで誕生したアルケミーのような、紙では到底不可能なギミックが新たな体験を提供しているのもまた事実。
理想的には、デジタルと紙の両方が互いを補完し合い、それぞれの良さを活かしたデザインの両立が求められる時代に入っているのかもしれません。

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